OpenAI Foundation の最新情報
OpenAI Foundation 理事会会長 Bret Taylor からのメッセージ

昨年秋、OpenAI は資本再編を発表し、OpenAI Foundation がより多くのリソースを活用できる体制を整えました。ここでは、そのリソースをどのように活用し始めているのかをご紹介します。
私たちの使命
私たちの使命は、汎用人工知能がすべての人に恩恵をもたらすようにすることです。これは、複数の側面から取り組む必要がある課題です。
AI はすでに、人々の働き方や学び方、医療へのアクセスのあり方を変えています。AI は大きな可能性を秘めています。たとえば、医療の進歩を加速させたり、科学的な発見を早めたり、医療や教育で一人ひとりに合わせたサービスを実現したりすることができます。さらに、創造や発明を支える新しいツールの登場や、生産性の向上、経済成長、交通をはじめとした公共サービスの改善など、幅広い分野での効果が期待されています。OpenAI は創業以来、この可能性を信じて取り組みを進めてきました。
しかし、人々に役立つ強力なシステムをつくることは、私たちの使命の一部にすぎません。高度な AI モデルは新たな課題も生み出しており、その兆しはすでに現れ始めています。私たちはそれらを見極め、適切に対応できるよう備えていく必要があります。
こうした2つの側面が、当財団の取り組みの柱となっています。私たちは、AI を活用して人類が直面する最も困難な課題の解決策を見つけ、人々の可能性を広げ、人々の生活に具体的な価値をもたらすことを目指しています。同時に、パートナーと連携しながら、新たな課題に備え、AI の進歩に伴い社会のレジリエンスを高めていけるよう取り組んでいます。
この取り組みはまだ始まったばかりです。当財団は今後1年間で、体制の拡充を進めながら、ライフサイエンスや病気の治療、雇用と経済への影響、AI レジリエンス、コミュニティプログラムの各分野に、少なくとも10億ドルを投じる見込みです。これには、病気の治療と AI レジリエンスに向けた、先に発表した250億ドルの資金拠出に対する初期投資も含まれます。
今後数か月にわたり、新たな助成金やプログラムを通じて取り組みを進めていきます。その過程で得られた学びや改善を踏まえ、各分野の進捗について随時お知らせしていきます。
ライフサイエンスと病気の治療1
まずはライフサイエンスと病気の治療から始めます。AI には、科学と医療の進歩を加速させ、人々の命を救い、生活の質を向上させる大きな可能性があると私たちは考えています。これらの分野における AI の可能性は、すでにさまざまな形で現れ始めています。研究者は AI を活用して、病気への理解を深め、予防や治療の新たな方法を探り、研究成果をより早く患者に届けようとしています。
当財団では、この取り組みが大きな成果につながると考えられる3つの重点分野を特定しました。
アルツハイマー病への AI 活用:アルツハイマー病は、家族にとって非常に深刻で大きな影響をもたらす疾患のひとつであり、医学においても極めて困難な課題のひとつです。AI が複雑なデータを横断的に分析・推論することで、研究者が新たな知見を得られる可能性があります。私たちは主要な研究機関と連携し、まずは疾患経路の解明、臨床診療および臨床試験におけるバイオマーカーの特定、そして治療の個別化の加速に取り組みます。可能な場合には、既存の FDA 承認済み分子の転用も含まれます。
ヘルスケアのための公開データ:医学における多くの重要な進展は、共有された科学データによって支えられてきました。科学的ブレークスルーにおける AI の可能性を引き出すには、データへの公開アクセスが不可欠です。私たちは、パートナーがオープンで高品質なデータセットを構築・拡充できるよう支援するとともに、適切な場合には、これまで非公開だったデータも責任ある形で公開できるよう支援します。これにより、世界中の研究者が AI とデータを活用し、さまざまな疾患分野の進展を促進できるようにします。
死亡率が高く、負担の大きい疾患分野での進展を加速する:AI は科学的ブレークスルーを促し、治療法の開発や転用に伴うコストとリスクを低減できると私たちは考えています。特に、資金が十分に投入されていないこれらの疾患分野において、その可能性は大きいと見ています。AI 研究者と疾患の専門家を結集し、まずは集中的なワークショップを通じて、科学者が AI ツールを最大限活用できる支援のあり方を検討し、有望な機会を見つけていく方針です。
Jacob Trefethen が、ライフサイエンスおよび病気の治療部門責任者として、この取り組みを主導します。彼は Coefficient Giving から参画し、同組織では科学およびヘルスケア分野に対する5億ドル超の助成金拠出を統括していました。
雇用と経済への影響
AI は、仕事や経済のあり方を変え、課題と同時に新たな機会ももたらします。私たちは、これが極めて重要であると認識しています。当財団は、この分野における実践的な解決策の検討と資金提供に向けて、市民社会、中小企業の経営者、労働組合、主要な経済学者、政策立案者などの専門家やコミュニティとの連携を開始しています。最も有望なアプローチに重点的にリソースを投入し、今後数週間のうちに詳細をお知らせする予定です。
AI レジリエンス
先にお知らせしたとおり、AI レジリエンスは私たちの主要プログラムの1つとなります。この取り組みは、AI の能力向上に伴って必然的に生じる新たな課題に焦点を当てるものです。人々が主体性や創造性、機会を損なうことなく、AI の恩恵を十分に受けられるようにすることを目的としています。
まずは、すでに影響への懸念が現れており、初期の取り組みでも実質的な成果が見込めるいくつかの分野から取り組みます。
子どもと若者への AI の影響:AI ツールが若年層にとって安全であり、健全な発達を支えるものとなるよう取り組みます。これには、データに基づく研究と評価への投資が含まれます。また、分野横断的な取り組みを通じて、AI と子どもや若者とのやり取りが安全で有益なものとなるよう、適切な安全対策の特定を支援します。
バイオセキュリティ:自然に発生するものと AI によるものの両方を含む、生物学的脅威に備え、社会の体制を強化していきます。これには、検知、予防、被害の軽減の強化が含まれます。
AI モデルの安全性:AI システムの安全性を、初期設定の段階から高めていきます。具体的には、独立したテストや評価の支援、業界標準の整備、安全性の問題を未然に防ぎ、早期に検出・対処するための基礎研究への資金提供を行います。
OpenAI の共同創業者である Wojciech Zaremba が、AI レジリエンス責任者として当財団に参加し、この取り組みを主導します。
コミュニティ支援
People-First AI Fund は最終段階を迎えており、その最終助成については今後の展開とあわせて、まもなく発表します。
この取り組みは、私たちの非営利委員会の提言を受けて開始されたものです。地域に根ざした組織は、人々が AI 主導の変化に対応していくうえで、特に重要な役割を果たすことが明らかになってきました。こうした信頼性の高い団体は、支援するコミュニティに最も近い存在であり、現場で重要な活動を担っています。
私たちは今後も、コミュニティを支える取り組みへの投資を続けていきます。特に、人々が AI を理解し、その力を活かして変化に適応できるよう支援していきます。
チーム体制の強化
Wojciech と Jacob に加えて、私たちは取り組みを大規模に推進するためのチームを構築しています。
4月中旬に、Anna Makanju が市民社会およびフィランソロピー向け AI 責任者として加わります。非営利団体、NGO、フィランソロピー機関、さらに市民社会全体がその影響を拡大・加速できるよう、AI を活用する財団の取り組みを主導します。Anna は以前、OpenAI のグローバルインパクト担当 VP を務めていました。今後数週間のうちに、本取り組みの詳細をお知らせしていきます。
Robert Kaiden が最高財務責任者として加わります。Robert はこれまで、Deloitte、Twitter、Inspirato において上級管理職を歴任してきました。今後の成長に伴い、当財団が高い財務規律のもとで運営されるよう支援します。
Jeff Arnold がオペレーションズディレクターとして加わります。Jeff は OpenAI の初期メンバーです。これまでのキャリアを通じて企業の立ち上げと成長に携わり、Oracle や Dropbox ではリーダー職を歴任してきました。財団の目標達成を支えるために必要な運用体制の構築を支援します。
当財団の理事会は現在、エグゼクティブディレクターの採用も進めています。今後数か月にわたり、チームの拡充を続けていきます。
今後の展望
AI によって実現できる可能性は、まだ始まったばかりです。
これは大きな機会であると同時に、私たちに課された責任でもあります。これらの技術が、人々にとって実質的な進歩となるよう取り組んでいきます。私たちは迅速に学び、パートナーと連携しながら、広く展開可能で、大きな変化を生み出す取り組みに投資していきます。
私たちは、より多くの人々が困難な課題を解決し、大切な人を支え、これまで実現が難しかった充実した暮らしを築けるよう支援することを目標としています。
今後の取り組みを見据え、数か月にわたり、さらに詳しい情報をお伝えしていきます。
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Previously referred to as Health & Curing Diseases, this program has been renamed Life Sciences to reflect the Foundation’s focus on advancing biology and medical research as core to curing disease.